轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
「捨てたのは、確かにおれだよ」
「何故そうなる前に、おれに相談しなかったんだ!」
加納は詰め寄るようにして言った。
「その前に言って呉れりゃ、どうにでもなったのに」
城介はしばらく黙っていた。やがてだるそうに口を開いた。
「もう部隊長に報告が行ったのか?」
加納はうなずいた。
「そうか」
城介は投げ出した本を拾い、丁寧に頁を揃えた。うつむいたまま言った。
「相談したって仕方がない。お前には判りっこないよ。おれのことは、おれが始末する」
「始末出来るわけがないじゃないか。病院に入れよ」
やがて部隊長から呼出しが来た。部隊長は中田という軍医で、香港から戻って少佐に進級していた。進級のことばかり考えている陰性な性格の男で、部下に対する思いやりのないエゴイストとして、評判が悪く嫌われていた。そこでどういう会話がなされたのか、加納は知らない。入院加療を命じられたには違いないが、城介は拒否した。
「拒否することが出来るんですかね?」
私はすこし驚いて加納に聞いた。
「上官の命令は絶対的なものでしょう」
「原則としてはそうですがね――」
加納は奥歯を噛みしめるようにして、ちょっと考えた。