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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

たとえば肋骨がうしろに引っ込むとか、胸椎が歪んだら腰椎が反対側に歪むとかね。おれの脇腹の上がふくらんで圧迫感があるのは、そのせいなんだ」

「不正を皆して合理化しようというわけだね」

ほぼ私は了解した。

「役所の汚職を、役人どもが皆でかばい合うようなもんだね。医長がそう言ったのか」

栄介はうなずいた。

「するとその脂肪腫も、何かそれと関係あるのかい?」

「いや。これは偶然だろう。おれもそう思っている。たまたま皮下に脂肪がたまっただけなんだ。おい。そこにブランデーが入っているだろう」

ベッドテーブルの下の扉を指し、栄介はやや陰欝に命令した。

「それを出して呉れ」

「飲んでもいいのかい?」

一番奥にかくされていた洋酒瓶を、私は引っぱり出してやった。

「骨に響きやしないか」

「大丈夫だよ。腰筋の炎症はおさまったんだからな」

茶碗に注いで、半分ほど飲んだ。

「脂肪腫というのは、遺伝するものかな」

「なぜ? 城介君にも、そんなのがあったのか」

「いや。城介じゃない。父方の伯父だ」

栄介はむせてせきこんだ。体がベッドの上で、はずみをつけて動いた。

「おやじの兄なんだがね。若い時からいつも首のつけ根のところに、ふくらみをこさえては手術し、またふくらませていた。