轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
しかし二人の老人は、幸太郎のあたりかまわぬ大声に、いくらか辟易し、恥じているように見えた。つまり幸太郎の田夫野人ぶりをあたりにはばかって、あきらかに当惑していた。
「よかったのう。お前たち、よく生きとったのう」
幸太郎は手の甲で洟を拭いながら、大声を出した。歩廊にはかなり強い風が吹いて、ところどころで塵埃の小さなつむじ風をつくった。
「遠藤はどうしたんじゃ。折角電報を打ったのに、迎えに来んじゃないか」
「あいつはよいよいになってな」
二人の中の一人が、義歯から洩れる声でぼそぼそと答えた。
「それで寝たっきりだよ。頭の方もすっかりぼけてな」
「ぼけた? そらいかんな。お前たち、見舞いに行ったのか」
歩廊もしだいに人影がまばらになって来た。まばらになると、駅には何か哀しげな翳がただよって来る。拡声器の声が遠く近くひびいた。
「うん。おれたちもあまり自由がきかないんでなあ」
幸太郎の視線がその時、柱のかげの彼をとらえた。人影がどんどん動いて減って行くのに、柱のかげにぼんやりと佇んでいる男の姿に、幸太郎はふと不審の念を抱いたらしい。その幸太郎の視線と栄介の視線とが、ぴったり合った。