轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
「じゃ、とにかく預かることにしよう」
と言うことになり、大型封筒に入れて封印をした。それ以来その日記は預かり放しである。封印は私が切ったのではなく、長年持ち廻ったせいで、自然にすり切れてしまったのだ。
「で、ギプスベッドは、もう使っているのかい?」
栄介が返事をしないので、私はうながした。
「うまく出来たかい?」
「うまいかまずいか知らないが、とにかく出来上ったよ。まだ濡れているから、使えない。庭に乾してある」
栄介は顎をしゃくった。
「見たいか?」
「うん」
栄介はそろそろと体を動かして、起き直った。手を伸ばして、竹杖を取った。座敷箒の箒の部分を切り捨てたお粗末な杖である。
「まだ杖が要るのかね?」
「いや。なくても歩けるが、この方がらくなんだ。それに病人は、病人らしい恰好をしている方が似合う」
廊下に出た。外が狭い庭になっている。幹の細い樹が五、六本、ひょろひょろと立っているだけだ。沓脱石の上に新聞紙を敷いて、その上にギプスベッドはひっそりと乾されていた。何だか場違いのような異様な感じがした。私は縁側にしゃがんで、それに見入った。
「貧弱なオブジェというところだね」