轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
うちから持参した弁当は、二時間目か三時間目の休みに食べ終って、正午になると腹がすいたためである。だからそれほど咎むべき行為ではなかったわけだ。城介はことに空腹のためもあり、三杯もおかわりをした。
そこまではよかったが、金を払う段になって、四人はすこし青ざめた。お互いの懐中をあてにして来ていて、誰も金を持っていなかったのだ。
「困ったな」
「弱ったねえ」
四人は顔を突き合わせるようにして、ひそひそと相談をした。誰かが居残りになり、三人が学校に戻って、金をつくって来る。そんな案も出たが、直ぐに昼からの授業が始まるわけだし、ふたたび塀を乗り越して金を持って戻って来ることは、たいへん危険な作業であった。誰が居残りになるか、と言う問題もあった。その点で三人は二杯ずつしか食べなかったので、
「お前、三杯も食べたんだから、居残りになって呉れ」
城介はそれを拒絶した。当り屋は面白い商法を取っていて、うどん一杯なら五銭、二杯なら八銭、三杯食べると十銭払えばいいというシステムで、それほど当時のうどん屋は競争が烈しく、またみみっちい商売だったのだろう。中学校近くのうどん屋なんて、種物はあまり出ず、やはりうんと食わせることで利を稼がざるを得なかったのだ。