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でんえんじょうちょうあり

田園情調あり

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,319 字 · 19 页

青空文庫

「今度は発憤したんだから償いをつける。早速だ。何か話し給え。読んだ本があるだろう」

「その為めには読まないんだよ」

「しかし君は学校の先生で本を読むのが商売だから、何かあるだろう」

「ないこともないけれど」

「どうぞお願い致します」

と秋ちゃんも言葉を添えた。文学談話会の体面を保たさせなければ相済まない。

「そうですね」

と伊達君は考え込んで、

「話よりも朗読をやろうか? 僕は今小説を書いていたんだ。まだ半分しか出来ていないけれど、それを読んで批評をして貰おうか?」

「いゝね。頼むよ。恋愛小説か?」

「恋愛だ。貯金小説じゃない」

「来たね。参った」

と水町君は額を叩いた。この際御機嫌取りの一方だ。

伊達君は原稿を出して来て読み始めた。五六十枚あったから、聴く方は退屈した。時折註釈が入る。

「こゝは好いだろう?」

と賞讃を要求する。

二時間かゝって、

「こゝまでだよ。下書ならもう少しあるんだけれど」

と言って、伊達君は立とうとするのだった。

「もう結構だよ、君」

と水町君は慌てた。

「これまでにして置こう。面白いだろう?」

「うむ。相当複雑だね」

「人物を出し過ぎたものだから纒まりが悪いんだ。