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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
吉川英治『私本太平記(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私本太平記、私本太平記、私本太平記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 页
事実、その言は決して彼の希望的な観測だけのものではなかった。少弐頼尚の意見をきき、また諸情報の綜合などからも、尊氏自身、かたく信じていたのである。
で、じつにわずかな小勢にはすぎなかったが、
わああッ……
と、出足のとたんには、武者声をふるい揚げ、たちまち、後ろを見ない鉄の怒濤となっていたものだった。
許斐山を越えると、道は西郷ノ庄を望んで展け、右の山切れには、折々、水平線低く、玄海灘が壁画のような顔をあらわし、強い北風もしばらくは後ろの峠にさえぎられる。
「オオ明け近いぞ」
まだまっ暗だが、玄海の沖には、旭日の微光が映し、そしてこの頃からの参加者だった。
「足利どのの御一勢と見たてまつる。それがしどもは」
と、道に会して、参陣を名のって来る者が――三十人、五十人、――ひきもきらない。
「田川郡の田川則武と一族の者でおざる」
「これは、かねて御教書を給わった直方ノ庄の一党」
「御上陸と聞き、間道、夜を日についで、馳せまいった鎮西村の者どもです」
諸族雑多だ。
しかし、龍造寺党や深堀、杉党などの大族の系類もあり、また、千葉氏や宇都宮氏のように、尊氏の将にしてこの筑紫に領地のある者もいたので、当然、それらも馳せ参じた。