轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

吉川英治『私本太平記(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私本太平記、私本太平記、私本太平記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 页

青空文庫

「あのむすめは、よくここへ見えるのか」

「いえ、里の物売りは、よくまいりますが、いまのような小娘は」

「初めてか」

「は。きょう初めて見たようにおもいまする」

「気をつけたがよい」

「それはまたどういうわけで」

「ただの山家女や浦人のむすめとは思えぬ。何かいわくのある者だろう……」と、そのまま縁を下りて、あり合う草履に足をつッかけながら。

「右馬介」

「はっ」

「この裏山の洞に、地蔵が祀ってあるといったな。ゆうべの炉辺で、そんな話を二人でしておったが」

「は。いやしかし、つまらぬ地蔵でございますので」

「何でもよい。地蔵は母の信仰でもあり、わしの守護仏ともいわれておる。行ってみよう」

尊氏はもう歩いていた。

鎌倉の海もここの山も、冬を忘れたような小春日だった。右馬介たちが柴採りに来てふと見つけたという横穴を覗いてみると、二尺ばかりな石の地蔵が、ちょこんと石の台座に乗せてあった。

「これか」

「はい」

「地蔵だろうか?」

「弥陀とも見えませぬ」

「やはり地蔵尊かの。しかしお顔も衣紋も、ひどく磨滅して貝殻なども附着しておる。察するに、地蔵は地蔵でも、海上がりの御仏だろ」

「お目がねの通りです」