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たいない

胎内

三好 十郎

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页

青空文庫

フヌケめ! ハハ、アッハ、ハハ、ハハ! (はじめて、気もちよく哄笑する)

花岡の声 な、なにを笑うんだ? 佐山君、おい!……き、君も、気がちがうんじゃないか?

佐山の声 ハハ、いいじゃないか。気がちがったよ。まったく、なんというバカだったろうなあ? 徹頭徹尾、頭のテッペンから足のつまさきまでの――インポテント!

花岡の声 ……なんだか知らないが、そんな理窟はどうでもいいじゃないか。理窟が多すぎる。

佐山の声 まったくだ。ハハ! しかし、しかたがないじゃないか。そうなっちゃっているんだもん。でも、それでもいいじゃないか。多過ぎたってすくな過ぎたって。

花岡の声 今、こうなっている俺たちが、理窟で救われはしねえんだ。

佐山の声 理窟をいわなくなったって救われはしないよ。

花岡の声 ……それも理窟さ。つまり、観念か? 観念なんて、イザとなりや、三文にもなりゃしない。

佐山の声 だから、君のいうそれも一つの観念さ。……同じことだ。第一、君あ、神さまっていってた。あれも観念だよ。

花岡の声 ……。とにかく、やりきれん。やりきれんからだ。なんでもいいから――だって、今、おれたちは、どうなっているんだよ?