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たいない

胎内

三好 十郎

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页

青空文庫

佐山の声 ……生きてる。こうして生きてるんだよ。

花岡の声 出口がないじゃないか。あと、しばらくすれば、必ずナニすることがわかっている。それが自分にわかっていることだ。

佐山の声 外で暮らしていても、出口なんぞありゃしない。

花岡の声 だから、そりゃ理窟だ。つまり観念――

佐山の声 観念だよ。たいしたもんじゃないや。しかし、ないよりはマシだ。してみると、たいしたもんかも知れないんだ。……現に、そうじゃないか。君あ、そうしてペチャペチャにまいっちまって、神さまなんて泣き声を出している。俺あ――俺もまいっている。だけど、神さまなんて、俺にゃ、いらん。くたばるまで、チャンとやって行けるよ、俺あ。……そりゃ、だんだん苦しくなりゃ、唸ったり、寂しくなって泣いたりするだろう。だって、事実、苦しかったり寂しかったりするんだから、そいつは、しかたがないんだ。犬や虎だって、死ぬ時や苦しんだり寂しがったりする。それがイキモノなんだ。イノチなんだ。苦しいのや寂しいのを、神さまや、そのほかの、いろんなもの持って来て、ふせぎとめようとしたって――いや、それのできる人は、してもいいだろう。