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たいない

胎内

三好 十郎

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页

青空文庫

……あと、シーンとなる。横になったままの村子が、シガレットの吸い残りをポイと投げ捨てる。それが、水たまりに落ちたか、ジイと音たてて消える。……そこへ、花岡がもどって来る。というよりも、花岡が手に持った棒型の懐中電燈のコウコウとした丸い光が、近づいて来る)

村子 なんだ、あんた持っていたんじゃないのよ、アカリ! (上半身を起す)

花岡 ……しめちまって来た。

村子 だいじょぶ?

花岡 うまくできてら。

村子 いえさ――

花岡 だいじょうぶだ。カンヌキまで、かって来た。コンクリイでかためた戸だ。ふふ! たとえ、奴らがなにしたところで……(いいながら動かした電燈の光が、村子の坐っているところを照らし出す。そこには地面にしいたコートの上に、ストッキングにシワを作った女が、片手をついてまぶしそうに目をしわめて、横坐りになっている。……丸い光をとめて花岡がそれを見ている。闇の中で舌を出して唇をなめる。ながら、片手で新しいシガレットをつまみ出して、くわえ、ライタアで火をつけ、ひと吸いしてから、村子に近づいて行き、ならんでコートの上に腰をかけ、女の胸へ腕をまわす。同時にコートのヒダの中に捨てられた懐中電燈の光がスッと一点に小さくなり、ホタル火のように二寸四方ぐらいの光になる)