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たいない

胎内

三好 十郎

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页

青空文庫

シッチャ、イネエヨ。ヘ、ヒヒ!

花岡 軽蔑してるんだな、人間なんて――? そうだろう?

佐山 そうだなあ――といわれりゃ、そうですねえ、日本人――フン――一人のこらず、生きてる価値はないですねえ。軽蔑ですか?……そう、ゴミだ、みんな。

花岡 じゃ、俺も軽蔑しているのかね?

佐山 ……(ニヤリとして相手を見る)

花岡 ようし、じゃ、お前自身は、どうだ? いやさ、そのお前自身は、どうなんだよ?

佐山 自分ですか? なっちゃいないですねえ。一番軽蔑してるでしょうね。だから、人のことも自分のことも、しょうねえんだ。処置ねえですよ。

花岡 すると、ぜんたい、お前はなんだてえんだ? え、おい!

佐山 なにって、べつに――ヘヘ。(意味なく笑う)

花岡 踏み殺してやるぞ、ホントに! (のんでしまったウィスキイのビンを壁の方に叩きつける。バリンと破れて飛びちるビン。佐山がビクンとして、花岡を見る。ビンが壁にあたったショックのためか、天井のどこかから小さい落盤がバタリ、チャプンと落ちる音)

村子 あら! なあに? (暗い方を見る。花岡も佐山もそちらへチョット目をやる)

花岡 なんだ?

村子 いえさ――さっきの、地震でさ――どっか、くずれてるんじゃないかしら?