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たいない
胎内
三好 十郎
「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页
女※(始め二重括弧、1-2-54)村子※(終わり二重括弧、1-2-55)は、スッキリと伸びたからだに、濃いエンジ色のツー・ピースを着て、肩から革ひもでつるした黒エナメル塗りの革のバッグ。下におろした小型のスーツ・ケースに腰をおろし、ナイロンのストッキングをはいた脚を組んで、バッグから出して口にくわえていたシガレットを、花岡の手もとのライタアの火に持って行く。紅で光るくちびるや爪。念入りに化粧しているので、ちょっと見には二十四五にしか見えないが、成熟しきった肉感的なからだつきや、こだわりのない動作などから、すでに人生のいろいろの波をくぐって来た三十近い――もしかすると、三十をちょっとぐらい過ぎているかもしれない――ことがわかってくる。……二人とも、それまでの会話の調子から想像されていたものよりもズッと上品で高級な身なりをしている。……ライタアの弱い光で、黒く、しけて、息づまるような穴の内部が見えてくる。山の横腹に掘りかけて、凹字形が六七分できた頃に打ちすてられた壕の一番奥のところ。土と岩の入れまじった黒い壁と床。デコボコの天井を不安定にささえている二三の支柱が既に折れ腐れて、にじみ出た水が伝わってヌラリと光っている。