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たいない

胎内

三好 十郎

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页

青空文庫

ホントのことは――その、ホントのことを、真正面から、しかし、見る勇気は、誰にもない。……(ジロリと村子を見おろして)望みはないですよ。あと四五日で、三人とも、まいっちまう。たしかだ、そいつは。だけど、こんなところにとじこめられなくったって――世の中に安全に生きていたって、三十年か四十年たてば、あんたあ、キット、まちがいなく、ハンコでおしたように、チャンとなにするんだ。同じだ。どっちせ、望みはない。(歯をむいて笑おうとする。しかしその歯が、唇にへばりついて、ひきつったしかめヅラになる。そこに現われているのは、憎悪)

村子 ……んだから、それなら、どうしてあんた、掘るのよ。それがわかってて?

佐山 ヘ! (しかめツラのまま、こっちの闇の中へ向って、目をすえている)……わかっているんだ、それは。おそかれ早かれ……それがハッキリわかっていて、それを知っているくせに、どうして生きておれるんだろう? 死? シ? 腐るんだ、その瞬間から。死。シ、し。……(いろいろにそれを発音して自分で聞いている)……なぜ笑うんだ? なにがおもしろいんだ? お前が作ったんだぞ? お前がこうして生みつけたんだぞ!