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たいない
胎内
三好 十郎
「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页
人間、ふしあわせな、ひどい目にあうと、たいがいみんな弱いから、苦しいから、それが割れてしまう。別々にしてしまわないと、自分が苦しくってがまんができなくなるから、しかたなしに、割れちまうのよ。弱さのため。それは、弱さのためだわ。悪いからじゃないの。私には、うまくいえないけど――あんたの奥さんにしたって――
佐山 ふ! おれが、おれのカラダがダメになって――そいで、おれにツバを吐きかけたのは、お前だ! (目の前の村子が、この男の白熱した心と目に、妻に見えて来ている。しかし、これは、以前の痴呆状態からの錯誤とは全くちがって、集中から来るエネルギッシュな倒錯である)……女は豚だ! お前はメス豚だ! マタを上にして、ひっくり返っているメス豚だ! ヘ! そいで、おれは、役立たずの、腰抜けの、モウロクだ! ヒヒヒヒ! にゃあに、ヘヘ、オスの種豚が一匹いさえすりゃ、お前なんぞ、なんにも要りゃしねえんだあッ! (泥だらけの手で村子の裸の肩をわしづかみにする)
村子 なにょするのよッ! バカ! だって、しかたがないじゃないのよッ! 私のせいじゃないじゃないか! 誰だって、人間そんなふうにできているんじゃないかッ!