轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なおこ
菜穂子
堀 辰雄
楡の家 第一部「物語の女」山本書店、1934(昭和9)年11月<br> 楡の家 第二部「文学界」1941(昭和16)年9月号<br> 菜穂子「中央公論」1941(昭和16)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,758 字 · 173 页
私はこの手記でその正体らしいものを突き止めたいと思うのだ。
私の父は或る知名の実業家であったが、私のまだ娘の時分に、事業の上で取り返しのつかぬような失敗をした。そこで母は私の行末を案じて、その頃流行のミッション・スクールに私を入れてくれた。そうして私はいつもその母に「お前は女でもしっかりしておくれよ。いい成績で卒業して外国にでも留学するようになっておくれよ」と云い聞かされていた。そのミッション・スクールを出ると、私は程なくこの三村家の人となった。それで、自分はどうしても行かなくてはならないものと思いこんでいたせいか、子供ごころに一層恐ろしい気のしていた、そんな外国なんかへは行かずにすんだ。その代り、この三村の家もその頃は、おじいさんと云うのが大へん呑気なお方で、ことに晩年は骨董などにお凝りになり、すっかり家運の傾いた後だったので、お前のお父様と私とで、それを建て直すのに随分苦労をしたものだった。二十代、三十代はほとんど息もつかずに、大いそぎで通り過ぎてしまった。そうしてやっと私たちの生活も楽になり、ほっと一息ついたかと思うと、こんどはお前のお父様がお倒れになってしまったのだ。