轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あしはみていた
葦は見ていた
山本 周五郎
「週刊朝日」1947(昭和22)年6月22日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,985 字 · 36 页
計之介のほうに事情があり、このところ二年以上もこの家へはよりつかなかった。そのため深江は二十という年になってしまったのであるが、――彼女のようすには変ったところはなかった。計之介にはそれが、むしろ呵責であったが、しかしうれしさも大きかった。彼女に少しも変ったようすがなく、まえと同じように受け容れてくれるのをみて、彼は強い自責と深いよろこびとを、二重に感ずるのであった。
食事が終ると、計之介は別れを告げた。
「明後日ゆくよ」と東次郎が云った、「そのときすっかり話を聞こう」
計之介は頷いた。東次郎は玄関まで送って出た。
「松野老へはおれが知らせよう」東次郎は云った、「召使などもおれがなんとかするから、まず藤吉はゆっくり寝ることだ」
計之介は眼をそむけながら頷いた。
「松野老がどんなに喜ぶことか」
東次郎は呟くように云った。殆んど独り言のようであった。計之介は東次郎の顔を振返って見て、それから玄関を出ていった。
藤吉の家は竹屋敷という処にあった。
計之介が帰って一刻ばかりすると、家扶の松野伊太夫が、二人の下僕をつれて来た。松野は父の代からの家扶であるが、半年まえに自分から暇を取り、親類の家に寄食していたものであった。