轻松读懂日语经典作品
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あしはみていた
葦は見ていた
山本 周五郎
「週刊朝日」1947(昭和22)年6月22日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,985 字 · 36 页
堤の上から一人の若い女がおりて来た。
あの段々に窪みの出来ているところから、灌木の枝につかまりつかまり、危なっかしい恰好で下へおりて来、そこでまわりを眺めやった。年はもう二十一か二くらいであろう。髪のかたちや着物の着かたで、水商売をしていたらしいことが想像される。小麦色の細おもてに、眉が濃く、眼尻のあがった、いかにも勝ち気らしい顔だちであるが、小さい肩や、そこだけ緊って肉づいた腰つきなどに、洗練された嬌めかしさと色気が感じられた。
女は蒔絵の文筥を持っていた。その文筥はかなり古びたもので、結んだしで紐も太く、その紫の色もすっかり褪色していた。
女は振向いて堤の上を見、それから川の向うを見た。遠くを見るときには、その眼が細くなり、眉間に皺がよった。やがて、――女は地面の上に文筥を置いた。そこは、絶えず堤から崩れる土で、少しばかり高くなっている。女はその高くなった処へ文筥を置き、それから着物の裾をからげて帯に挾んだ。下からは水色の縮緬の二布があらわれたが、女はさらにその二布をからげ、左右の端をしっかりと結び合せた。すると彼女のしなやかな、すんなりとかたちのいい脛が、膝のところまで剥きだしになった。