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はえおとこ

蠅男

海野 十三

「講談雑誌」1937(昭和12)年1月号~10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,129 字 · 237 页

青空文庫

検事さん、ちょっとみてきます」

署長があたふたと階下へ下りていく後を、村松検事は追いかけるようにして、大広間の方へついていった。焼屍体のあった大広間は、監視の警官が一人ついたまま、気味のわるいほどガランとしていた。

警官の挙手の礼をうけて、室内に入った署長は、そのとき室内に、異様の風体の人間が、火の消えた暖炉の傍にすりよって、後向きでなにかしているのを発見して、呀ッと愕いた。全く異様な風体の人間だった。和服を着て素足の男なんだが、上には警官のオーバーを羽織り、頸のところには手拭を捲きつけているのだった。頭髪は蓬のようにぼうぼうだ。

「コラッ誰やッ」署長は背後から飛びつきざま、その男の肩をギュッと掴んだ。

「うわッ、アイテテテ……」

異様な風体の男は、顔をしかめて、三尺も上に飛びあがったように思われた。

「何者や、貴様は――」

と、獣のように大きな悲鳴をあげた怪人に、却って愕かされた署長は、興奮して居丈高に呶鳴った。

「いや正木署長、その男なら分っているよ」いつの間に入ってきたか、村松検事がおかしそうに署長を制した。「それは私の知合いで帆村という探偵だ」

「ああ帆村さん。