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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页

青空文庫

一家団欒

一家団欒

お父さんが社から帰って来て、一同晩餐の食卓を囲む時、その日起った特別の事件が話題に上る。

「今日は里の母が見えて、私、上等の浴衣地を戴きましたよ」

なぞというのはお母さんの書き入れ事件である。それに対してお父さんは、

「ふうむ、それは宜かったね。彼方でも皆丈夫だろうね?」

と応じる。続いて里の話になって、

「私、その中に一日行かせて戴きますわ」

「何処へ?」

「里へですよ」

「この間行ったばかりじゃないか?」

「いいえ、あれはお正月でございますよ」

「然うだったかね。それじゃ行くさ」

というようなことに帰着する。

自分に関係のない問題は何うでも構わないが、

「あなた、今日は源太郎が学校のお友達と活動へ行く約束をして来て、ねだって困りましたの」

などと突如に吹聴されて、僕は大に面喰うことがある。

「そうして行ったのかい?」

とお父さんは怖い顔をする。

「お友達が門のところに待っていますし、土曜日ですから、つい……」

とお母さんが言い淀む。

「もういけないよ。活動は低級でいけないって断ってあるじゃないか?」

「はい」

と私も恐れ入る。しかし直ぐその後から、

「その代り今度芝居へ連れて行ってやろう」