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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页
愛孫
郷里の大叔父さんから手紙が来て、
「……追白、久作は人癲癇が持病の由につき何卒そのお積りにて願上候」
とお祖父さんが読んだばかりのところだった。人を恐れないだからと頻りに虚勢を張ったのは当人も持病の人癲癇を気にしていたのだろう。
「矢っ張り山がないと気が落ちつきませんわ」
と言って、久作さんは泉岳寺と松屋と三越の入口を見物した丈で翌朝郷里へ帰ってしまった。
愛孫
「浩二は悧巧だ。目から鼻へ抜けるというのはあの子のことだろう。迚も七歳や八歳の智慧じゃない」
とお祖父さんは口癖のように仰有る。家のものばかりでなく、碁の客謡曲の相手までが三度に一度は愛孫の逸話を拝聴させられる。
「あんな風でいて浩二はナカナカやさしいところのある子だよ。お祖母さんは目が悪いからってね……」
とお祖母さんも一度針へ糸を通して貰ったのを、幾度にも吹聴する。同じことをいってもしても、一番年下が一番褒められる。これが郁子敏子千代子の面々少々不平である。殊に自分達は女だからという僻みも聊か手伝っている。
「年を取って愚に返っているんだわ。それであんな赤ん坊見たいなものの言うことばかり感心するんだわ」