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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页

青空文庫

と直ぐガツガツするような次第には行かない。

「源太郎は行儀が悪いのね。お隣の文一さんを御覧」

とお母さんは何に彼につけて僕に反省を促す。文一君も苦しかろうが、斯ういうお手本をお隣りに控えている僕も不断の努力を要する。それにお母さんは文一君の好いところ丈け知っていて悉く謹直な片山さんの感化だと思い込むから、例の見ざる聞かざる言わざるの反対を行く三猿亭主人がお気に召さない。

「あなたも些っとお隣りの片山さんの真似をなすったら如何でございますか? この頃は毎晩おそいようだねってお母さんが言っていらっしゃいますよ」

なぞと時折忠告に及ぶ。社務多忙が続くと、お父さんは屹度何か言われる。

「恐れ入った。梅が香や隣りは堅山……堅之進か」

「何でございます」

「いやさ、精神さえあれば毎日出頭しなくても通じている」

とお父さんは誤魔化すけれど、近所に余り謹厳な実行家が住んでいるのも迷惑なものだと思っているらしい。新聞記者は言論家で、必ずしも実行家をもって任じていない。物には夫れ夫れ分業がある。慣れないことを急に始めても柄にはまらない。お父さんが離れの敷居際に平身低頭して、