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ろんごものがたり

論語物語

下村 湖人

「現代」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,688 字 · 266 页

青空文庫

」

「孔子の一行だということがはっきりするまでは、このまま閉じこめて置く考えらしい。」

「おやおや。で、一たい、いつまで待てばいいんだ。」

「少くも調査に三四日はかかるだろうといっていた。早速方々に人を出しているそうだ。」

「馬鹿馬鹿しい。そんなのんきな話があるものか。」

「仕方がない。これも天命だろうさ。しかし、あまり永びくようであれば、こちらにも決心がある、と、そういっておいた。」

「うむ、それはよかった。」

「ところで先生はもうお寝みかね。」

「まだだと思うが……」

「とにかく、先生にも一応事情をお話しておこう。」

子路はそういって孔子の室に行った。

門人たちは、子路が去ると、急に默りこんで顔を見合せた。塀の外からは、おりおり兵士たちの叫び声や、佩剣の音が聞えて来た。顔刻はその音を聞くたびに、眼玉をきょろつかせて、みんなの顔を見まわした。

子路は再びはいって来ていった。

「先生は、こちらからあまり突ッつくようなことをしないで、静かに待っている方がいい、と仰しゃる。ただ先生が心配していられるのは、顔渕のことだ。」

顔渕は、一行におくれて、その夜晩く匡につくことになっていたのである。