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ろんごものがたり
論語物語
下村 湖人
「現代」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,688 字 · 266 页
子路曰く、子三軍を行らば、即ち誰と与にせんかと。子曰く、暴虎馮河し、死して悔ゆることなき者は、吾与にせざるなり。必ずや事に臨みて懼れ、謀を好みて成さん者なりと。――述而篇――
子曰く、道行われず。桴に乗りて海に浮ばん。我に従う者は其れ由なるかと。子路之を聞きて喜ぶ。子曰く、由や勇を好むこと我に過ぎたり。取り材る所なしと。――公冶長篇――
その日は、ふとしたことから、仕官のことが話題に上って、非常に賑やかだった。座には顔渕、子路、子貢、閔子騫など高弟の外に、このごろ蔡からやって来た漆雕開が顔を出していた。
孔子は、永いこと默って、みんなのいうことに耳を傾けていたが、急に思い出したように、漆雕開にいった。
「それはそうと、こないだの話はどうじゃ。よく考えて見たかの。」
「はい、十分考えては見ました。しかし――」
と、漆雕開は少し顔を赧らめて、みんなの顔を見ながら、
「どうもまだ仕官などする自信が、私にはありません。自分を治める力がなくて、人を治めるのが、何となく恐ろしいのです。お言葉にそむいて申訳ありませんが、今回は、どなたか他に適当な方を、御推挙お願いいたしたいと存じます。