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ろんごものがたり
論語物語
下村 湖人
「現代」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,688 字 · 266 页
」
「何しろ、おたがいもいい面の皮でさあ。教えてやった揚句に、その下役に使われるなんて。」
「いや、年はとりたくないものです。」
「それにしても、あんな青二才を、※(「聚+おおざと」、第4水準2-90-28)の片田舎から引っぱり出して来て、礼の大家だなんて云い出したのは、一たい誰でしょう。人を馬鹿にするにもほどがあるではありませんか。」
「今更、そんなことを詮議立てして見たところで始まりますまい。それよりか、礼の大先生の現代式祭典のやり方でも覚えこんで、われわれも、もつと出世をする工夫をした方が利巧でしょう。」
「いや、なるほど。そう事がきまれば文句なしです。はッはッはッ。」
孔子の姿が見えないところでは、あちらでも、こちらでも、そうした失望やら、嘲笑やら、憤慨やらの声がきこえた。孔子は、それを知ってか、知らないでか、一とおり質問を終ると、みんなに丁寧に挨拶をして、その日は一旦退出した。
心配したのは孔子の推薦者であった。彼とても、孔子の力量を実際に試して見たわけではなく、世評と、孔子の門人たちの言葉を信頼していたに過ぎなかった。で、彼は、大廟内の噂を耳にすると、すぐ子路のところに駈けつけた。