轻松读懂日语经典作品
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まけないおとこ
負けない男
佐々木 邦
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,799 字 · 202 页
って、叔母さんに渡します。渡す方が印象が深いわ」
「一寸待って下さい」
「これ?」
「はあ」
「又お出しになる?」
「いや、お金じゃないんです。叔母さんに見られると具合の悪いものが入っているんです」
「いやよ、私、そんな秘密があるんじゃ」
と道子さんは紙入を渡さない。
「秘密じゃないんですけれど」
「何? それなら」
「さあ」
「私、拝見しますよ」
「困ります」
「分りました。小形の名刺でございましょう」
「そんなものじゃありません」
「何?」
「兎に角、大切なものです」
と堀尾君は手を伸した。
「厭よ、私」
「叔母さんが御覧になると困るんです」
「私丈け宜いでしょう?」
「いけません」
「そんなにお大切のものならお返し申上げますよ」
と道子さんは本気になった。
「それじゃ御覧に入れます」
「もう宜うございますよ」
「このまゝお渡し致します」
「いゝえ、拝見したくありません」
「いや、変な疑惑が残っちゃ困ります」
と堀尾君は道子さんに紙入を押しつけた。道子さんは拗ねたものゝ、好奇心が動いている。直ぐに開けて見て、
「お紙幣ばかりじゃございませんか?」
「其方側です」
「これ?」
と道子さんは手札大のものを取出して、