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まけないおとこ

負けない男

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,799 字 · 202 页

青空文庫

相手にならない方が宜いよ。しかし実際のところ内心指折り数えているんだろう?」

「そんなこともないさ」

「後五日だね?」

「いや。未だ一週間ある」

「俸給日だぜ」

「ふうむ?」

「ハッハヽヽ」

「巧くやられた」

「その通り頭の中が結婚式で一杯になっているんだからね」

と芳野君も三輪君に劣らず達者だ。いつも二人で挾み撃ちを食わせる。

「時に堀尾君、僕達は無論案内状が貰えるんだろうね?」

と三輪君が訊いた。

「何の案内状だい?」

と堀尾君も今度は警戒してかゝった。

「結婚披露式の案内状さ」

「誰の?」

「君のさ。大いに念を入れるね」

「僕のなら、是非来て貰いたいんだ」

「行くよ」

「斯ういう時には何うするものだろう? 社会部丈けへは一列一隊に案内状を出すものだろうか?」

「この春、西田君の時は然うだったよ」

「幹部へは?」

「さあ。そこまでは知らない」

「部長と編輯長丈けだろう。念の為め西田君に訊いて見ると宜い」

と芳野君は大切を取った。口先では諢いながらも、満腔の好意を持っている。

「西田君。西田君」

と三輪君が呼んだ。

「何だい?」

「一寸」

「よし/\」

と西田君は立って来た。

「又一人お芽出度くなる奴があるんだ」