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うしすてばうますてば

賤民とは何か

喜田 貞吉

喜田貞吉『賤民とは何か』。同一底本的分册已合并为一书。收入:牛捨場馬捨場、旃陀羅考、賤民概説、特殊部落ということについて、放免考、濫僧考、濫僧考補遺。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,870 字 · 229 页

青空文庫

しかるに不幸にして彼らは、触穢禁忌の思想によって、自由にその欲する職を択ぶ事が出来ぬ。やむをえず狭少なる範囲の職業に従事して生きねばならぬ。仲間内には競争が起る。従来はむしろ祝儀をまでもつけて引き取ってやった程の死牛馬も、今は競争して買収せねばならぬ事ともなる。生活はますます苦しくなる。次第に身を卑下していわゆる檀那方の好感を博し、少しでも多くの物質的利益を得るの道を講ぜねばならぬ。従来は権利として集めてまわった村方の扶持米も、今はただ永年間の習慣によって、いわゆる旦那の同情に待つようになる。かくては乞食待遇せられてもやむをえなかった。もちろん住居の地には限りがあって、自由に拡がる事も、分散する事も出来ぬ。その限られたる部落内に、限りなく増加する人口を収容せねばならなかった彼らは、次第に密集部落となり、細民部落となり、世間の進歩とは反比例して、ますます普通民との距離が遠くなる。もとは村方に必要であったものも、今では厄介な寄生物となる。世間の忌避と軽侮との度はますます甚だしくなる。それでもなお満足に生きて行く事が容易でないのみならず、彼らとても同一の人間でありながら、一方世間の差別待遇に甚だしく不満を感ずるの結果、その身分を隠し、仮面を被って世間に紛れ出る。