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うしすてばうますてば

賤民とは何か

喜田 貞吉

喜田貞吉『賤民とは何か』。同一底本的分册已合并为一书。收入:牛捨場馬捨場、旃陀羅考、賤民概説、特殊部落ということについて、放免考、濫僧考、濫僧考補遺。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,870 字 · 229 页

青空文庫

旃陀羅考

1 緒言

1 緒言

日蓮宗の宗祖日蓮聖人はエタの子なりという説がある。いわゆる特殊部落の人々の書いたものや、或いはその親しく語るところによると、某大臣は我が党の士である、某将官も我が党の士である、某々名士もまた我が党の士であるなどと、しきりに我が党の成功者を列挙するものの中に、歴史的の偉人としては、いつも日蓮聖人が数えられて、それをいわゆる部落民の誇りとしているのである。

日蓮を以てエタの子なりということは、実は近ごろになって始まったものではない。既に古く「大聖日蓮深秘伝」というものがあって、父は房州小湊近郷の穢民で名は団五郎、母は同州小湊浦の漁夫蓮次郎の女で名は長と、その名前までが立派に掲げられて、彼はエタの如き賤者の子と生れながらも、かく宗教上の一大偉人として尊信せらるるに至った偉大さに、随喜渇仰したげに書いてあるのである。そしてその団五郎なるものは、後世のいわゆるエタと同じく、皮剥ぎ沓作りを職としたもので、聖人も少年の時には、自らお手のものの獣皮で鼓を張って、嬉戯にも軍陣の真似をなされたのだとか、日蓮宗に団扇太鼓を打って題目を唱えるについては、戦法において鐘は退くの器、大鼓は進むの器なるが故に、父団五郎がみずからお手のものの太鼓を張って、これを日蓮に贈ったのだなどと、エタという事に付会して、とんだ起原説まで