轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

05 徒労に賭ける

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,113 字 · 35 页

青空文庫

二

と若者は裾を捲っていた手で、こんどは片袖を捲りあげた、「やい、この広い往来で人に突き当って、失礼したで済むと思うのかよウ」

登はわれ知らず前へ出ようとした。しかし去定はそれを制止し、こんどは丁寧に頭をさげて云った、「見るとおりの年寄りで、考えごとをしていたために失礼をした、まことに申訳ないが勘弁してもらいたい」

「ちえッ」若者は眼を三角にして、去定を見あげ見おろし、だが、それ以上云いがかりをつける隙がないとみたのだろう、脇のほうへ唾を吐いて云った、「ちえッ、縁起くそでもねえ、感情悪くしちゃうじゃねえか、気をつけやがれ」

半丁あまり歩いてから、登がいまいましそうに云った。

「ならず者ですね、ひどいやつだ、私はわざと突き当るのを見ていましたよ」

「そうしたかったんだろう」と去定はあっさり云った、「人間はときどきあんなことをやってみたいような気持になるものだ、若いうちにはな、――おれにも覚えがあるよ」

私は殴りつけてやろうかと思いました、登はそう云おうとしたが、口には出さず、拳を握ったまま黙って歩いていた。

二

日光門跡の下屋敷のあるみくみ町に、小さな娼家のかたまった一画がある。