轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
てんき
転機
伊藤 野枝
「文明批判 第一巻第一号、第二号」1918(大正7)年1月、2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,656 字 · 67 页
いまは三河島に引っ込んでいるKさん、ご存じでしょう? あの人でさえ、一時は、あの問題のために一身を捧げるくらいな意気込みでいたんですけれど、今日じゃ、何のたよりにもならないのですからねえ。」
K氏といえば、一時は有力な社会主義者として敬意を払われた人である。創作家としても、その人道的な熱と情緒によって多くの読者を引きつけた人である。
「へえ、Kさん? ああいう人でも――」
私は呆れていった。
「Kさんも、前とはよはど違っていますからねえ。しかしKさんばかりじゃない、皆がそうなんです。要するに、もうずいぶん長い間どうすることもできなかったくらいですから、この場合になっても、どう手の出しようもないから、まあ黙って見ているより仕方はあるまいというのがみんなの考えらしいんです。しかし。」
M氏はいったん言葉を区切ってからいった。手の出しようのないのは事実だ。今まで十年もの間苦しみながら、しがみついて残っていた土地から、今になってどうして離れられよう、という村民の突きつめた気持に同情すれば溺れ死のうという決心にも同意しなければならぬ。といって手を束ねてどうして見ていられよう! けれど、事実の上ではやはり黙って見ているより他はないのだ。