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てんき

転機

伊藤 野枝

「文明批判 第一巻第一号、第二号」1918(大正7)年1月、2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,656 字 · 67 页

青空文庫

四

」

Tは冷淡な調子で、もうそんな話は片付けようとするようにいった。

四

けれど、私はそれなりで話を打ち切ってしまうには、あまりにその話に興奮させられていた。私はできるだけ、その可愛想な村民達の生活を知ろうとして、M氏に根掘り葉掘り聞き始めた。

彼等の生活は、私の想像にも及ばない惨めさであった。わずかに小高くなった堤防のまわりの空地、自分達の小屋のまわりなどを畑にして耕したり、川魚をとって近くの町に売りに出たりしてようやくに暮らしているのであった。そればかりか、とてもそのくらいのことではどうする事もできないので、貯水池の工事の日傭いになって働いて、ようやく暮している人さえあるのであった。その上にマッチ一つ買うにも、二里近くの道をゆかなければならないような、人里離れた処で、彼等の小屋の中は、まっすぐに立って歩くこともできないような窮屈な不完全なものであった。

「よくまあ、そんなくらしを十年も続けてきたものですねえ。で、その他の、買収に応じて他へ立ち退いた人達はどうなっているんです?」

私の頭の中では聞いてゆく事実と、私の感情が、いくつもいくつもこんぐらがっていっぱいになっていた。