轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さけみずく
酒みずく
山本 周五郎
「朝日新聞 PR版」1964(昭和39)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,665 字 · 6 页
とは云わない。
「人間はいつ死ぬかわかりゃしないのに」と私は独りで呟く、「そんなにいそがしがってなんの得があるんだろう、みんなあんまり利巧じゃないな」
仕事に関係のある友人以外には会わないことにしている。演劇、映画、放送局の諸氏にも原則として会わない。これらの諸氏は私がどう抵抗しようと、あいそよく笑うだけで、やりたいと思いきめたものは必ずやってしまうのである。これでは会って酒を飲み、大いに語ることはお互いの時間つぶしにすぎないし、こちらは一杯くわされたような気分になるだけだからだ。自然、友人は仕事関係の若い人に限られるし、かれらは仕事のほうが面白いから、私のような下り坂になった作者に会うのは気ぶっせいなのだろう。そこで私はまたグラスをかさねるか、街へでかけるかするのである。
午後四時になると、かみさんが晩めしの支度をしにあらわれる。私は相当以上に酔っているし、依然として食欲はないが、わが伴侶のあらわれたことで勇ましくなり、原稿を片づけてまずビールをあけてもらう。本当の気持はそれどころではない、渋滞して動かない仕事、その仕上りを待ちかねている若い友、さらにその若い友のうしろで舌打ちをしている偉い人、その他もろもろの、印刷工場の植字さんの顔までが眼の前からはなれないのだ。