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こんじきのし

金色の死

谷崎 潤一郎

「東京朝日新聞」1914(大正3)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,997 字 · 46 页

青空文庫

そうして又、此れ等の建築庭園の到る所に無数の彫刻物が点々として安置されました。彫刻の多くは此れも古来の傑作を模倣したもので、仏像女神像は云う迄もなく、人間から鳥獣の類までも網羅されました。就中最も目を欹てるものは、入口の石門を這入った坦道の両側にある、明の十三陵のそれに擬した象、虎、麒麟、馬などの坐像及び立像と、邸の中央の芝生に立って居るロダンの「永遠の偶像」でした。不思議にも其の偶像の男の顔は、特に彼が意匠に基いたと見えて岡村君の容貌に生き写しでした。ロダンの彫刻は彼が平生から崇拝の的となって居たゞけに、殆んどその有名な作品の大部分を集めて了いました。

普請の出来上ったのはそれから二年の後でしたが、彼の所謂「創作」と云うのは唯此れだけではなかったのです。

「今迄の仕事は要するに僕の芸術を創作する準備に過ぎない。云わば芝居の道具立のようなものだ。此れからがいよ/\本当の仕事だ。」

と彼は云いました。

「成る程それはそうかも知れない。いくら多額な金を懸けて立派な普請をしたところで、他人の芸術を模倣したばかりでは君の創作にならないからね。」

私がこう云うと彼はいつもの傲慢な薄笑いを浮べながら、