轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なべしまかいのかみ

鍋島甲斐守

吉川 英治

「オール讀物」文藝春秋、1936(昭和11)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,322 字 · 23 页

青空文庫

『民谷さんは、自分の考えで、自分の生命をちぢめなすったのでございます。手前の知ったことではございません。又、その手前を罪にする御法規はないとぞんじますが』

『いかにも、そういう御法令はない。――けれどそれは町人のそちと、御法規とのあいだにだけ通用する話だぞ。侍という者同士になると、彼等のあいだには、御法規も御法規だが又べつな義とか情とかいうのが重んじられておるからの』

『何と云って来ようと、この世に、御法規ほど、動かされないものはないとぞんじまする。はい、そんな事を申して来ても、受けつけませぬ』

『では、よいように、話し合え。――実はそちの来る前に、松平出雲守殿御家中から、云々と訴えが出ておるのじゃ。わしの手でそちを縛るいわれはないが、雲州侯の家中が、そちがここから帰るのを門の外で待ちうけているかも知れぬ』

と、云ってすぐ、

『立てっ』

と命じた。

『…………』

彦兵衛は起たなかった。いや起てないのかもしれない。わなわなとふるえているのである。

『立てっ、彦兵衛』

『ちょっ……ちょっと……お待ちくださいませ』

『なんじゃ』

『今のおことばは、まったくでございましょうか』