轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ながさきのかね
長崎の鐘
永井 隆
「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,109 字 · 131 页
すぐ横でうんうん呻いている。おーいおーい、と呼ぶのもいる。しかし八十名の級友のうち、声を数えるといくらも生き残っていないらしい。そのうちに狭い木材の隙間からすうと物の焼ける匂いが流れこんできた。やがて熱っぽい、いがらっぽい煙が流れこんできた。火が燃え始めたらしい。まごまごできぬと焦り始めた。上へぬけ出そうと押してはみるが、梁やら桁やら、椽やら、瓦やら土やら積み重なっていることとて、いっかな動きそうにもない。ぱちぱち近くで火の燃え上がる音がする。焦眉の急とはまさにこの状態であったのか。押してみる、突いてみる、頭と肩と背とを当てて満身の力で伸びようとするが、びくとも動かない。力学を考えてやってみる。重力の大きさをむなしく計算してみる。がらくたの隙間から吸いとる空気は次第に熱くなって、ちろりちろり赤い炎の反射がもれる。突然、海ゆかばを歌いだした者がある。せいいっぱい大声でゆっくり歌いつづけてゆく。藤本君は全身の力を失い、そのままころりと転がって、友の最後の歌に耳をすましていた。
かえりみはせじ――歌は終わった。「諸君、さよなら――僕は足から燃えだした」