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ゆき
雪
中谷 宇吉郎
「雪」1938(昭和13)年 11月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,536 字 · 152 页
その様子は第36図(第10図版)の写真を見ていただけば了解されることであろう。
零下三十度といっても、風がないので、はいった当座はそれほど寒いとも思わないのであるが、三十分も中で仕事をしていると、急に身体が冷えて来る。特に夏がいけないのであって、外の気温が三十度近くある時などは、急に六十度からの気温の激変に会うことになる。そういう気温の激変に度々会っていることは、健康のためには勿論よくない。それでも少しずつ身体を馴らして行くと、案外耐えられるのである。
「第37図」のキャプション付きの図
第37図
ところでこの室で実験をするためには、前に示した人工霜の装置を少し改める必要がある。前図のA及びBは今度は必要がなくなる。即ち上部の銅箱を銅板に代えたものを低温室へ持ち込んで、前と同様の実験をしたのである。初めの中の実験は零下二十度乃至三十度の室温で行うこととした。また他に第37図のような硝子製の装置を作り、特に純粋にした水あるいは重水で霜を作って見る場合にはこれを使うことにした。この装置も主意は前装置と全く同様である。(図中細い毛に六花の結晶の附いたように描いてあるのは、後で述べる人工雪である。