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ゆき
雪
中谷 宇吉郎
「雪」1938(昭和13)年 11月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,536 字 · 152 页
二
これらの歴史は、一八九三年刊行のヘルマンの Schneekrystalle に詳述してあるが、我国でも加納一郎氏著『氷と雪』に雪華研究史の詳しい話がある。
二
十九世紀の末葉から顕微鏡写真の方法が考案され漸次進歩してからは、雪華の研究も長足の進歩をとげたのである。即ち一八九四年ベルリンでノイハウス博士及びシグソンが撮影した写真について、ヘルマン教授が精しく研究してドイツ気象学界に発表しているが、特にシグソンの写真は、斜めの照明法を用いて雪の結晶の表面の細い凹凸までよく撮影しているので、その技術は今日でもよく用いられているのである。次いでストックホルムのノルデンショルドも雪華の顕微鏡写真を発表した。ヘルマン及びノルデンショルドは共に雪の結晶を平板、角柱及びその組合せと三種に分類しているのであるが、その分類は最近まで一般に用いられて来たものである。
以上は雪華研究の歴史を大略述べたのであるが、かくて六世紀に亙る長期間を経たのち、われわれに最も親しい彼のウイルソン・エー・ベントレーが現れるのである。
ベントレーはアメリカのヴェルモント州に生れ、その殆ど全生涯をジェリコにおける雪の結晶の観測に費した。