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ゆき
雪
中谷 宇吉郎
「雪」1938(昭和13)年 11月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,536 字 · 152 页
九
これが最も簡単な雪の成因の説明である。
九
さて、水蒸気が凝縮して雪になるには芯になるものが必要である。丁度われわれが子供の頃食べた金米糖を作る時、砂糖をとかした中へ芥子の実を入れて動かしていると、その芥子の実が芯となってそれに砂糖が附いて金米糖が生長するように、雪の芯となるものが必要なのである。この芯になるものは、空気中の塵や塩の微粒子またはイオンなどであって、この芯のことを物理の方では核と呼んでいる。これらの核が上空高らかに存在していて、それに水蒸気が附着して出来る雪の最初の状態のものは、普通に氷晶と呼ばれるものである。この氷晶は六角柱の頭に六角錐がついたものと一部の学者間には信ぜられている。この氷晶については後に改めて説明をする。
氷晶の核になるものが塵や塩の微粒子やイオンなどであるとすると、これらのものがどのような状態で大気中に存在するかを説明する必要がある。先ずここでいう上層の空気中に浮游する塵というのは、われわれが普通に塵と呼んでいるものよりも遥かに小さいものなのである。
即ち塵といっても、普通われわれが塵と呼んでいるものと分子との中間位の大きさの固体と思えばいいであろう。