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ゆき

雪

中谷 宇吉郎

「雪」1938(昭和13)年 11月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,536 字 · 152 页

青空文庫

5 角板

これらのことは雪の結晶を人工的に作って見るとよく分る。星状、扇形などの標本図は第一一〇及び一一一頁の一般分類の図の中に示してある。また羊歯状の結晶の一例は第10図(第4図版)に示してあるが、その繊細を極めた構造は驚くべきものである。

5 角板

六角板の結晶は、アメリカで観測したベントレーの写真集の中には沢山見られるが、我国では大形の六角板は比較的稀で、大抵は樹枝状のものか、あるいは次に述べる角板に樹枝のついたものである。樹枝状の結晶が水蒸気の多い時に出来、角板状が少い時に出来るということは分っているので、それから見ても我国の空にはいつも水蒸気が多く、アメリカでは比較的少いということが分るのである。

大形の六角板の結晶は大抵内部に色々の模様がある。この模様の成因については、ウェーゲナー教授がちょっと面白い仮説を出している。その説に従うと、初めに上空のある地点で雪が出来初め、そこの水蒸気の量が多いと小さい樹枝状の結晶になる。その結晶が落ちて来る間に水蒸気の量の少い層へ来ると、樹枝状の小枝の間の隙間に氷がついて角板になる。それがまた次の水蒸気の多い層へ来ると、その角板に樹枝が付く、そしてまた次の水蒸気の少い層でまた角板になるという風にして段々に発達して来るというのである。