轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かぜ

風

壺井 栄

「文芸」1954(昭和29)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,702 字 · 78 页

青空文庫

ガスも水道もなかった。そこへ移って、最初の外出は文芸講演会だった。新しい家で目の先の気分もかわり、何かいいことがありそうな期待で茂緒は修造と一しょに出かけた。うきうきしていた。講演者の中にはHやNやOや、プロ派のアナ系詩人が多く、修造や扶佐子の名も出ていた。修造と一しょにこうしたところへ一しょにゆくのは二度目だった。はじめのは結婚したばかりのときのことで、それは三科の展覧会だった。田舎ものの茂緒も、二科は知っていたが、三科というのは初耳だった。そしてどぎもをぬかれた。妙な線が交錯した中に目が一つあったり、女の首がころがっているわきに、ほんとうの髪の毛が無気味にぶらさがっている画面は、どうしてもそれが絵とは受けとれず、美も感じられなかった。HやNの詩集にしろ、「死刑宣言」だの、「三角型の太陽」だのと、そのどぎつさや異常さは門外漢の茂緒に無気味さより感じさせなかった。修造にしろ、「頭の中の兵士」という茂緒にとってわけの分らぬ詩があった。若い詩人たちは、よるとさわると気焔をあげていた。うちで静かな修造さえ、あるときの講演会ではHの詩の朗読に応じて叫喚しながら、観客席から演壇に走りあがったという。