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ましょうのおんな
魔性の女
大倉 燁子
「マスコット 一巻七号」1949(昭和24)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,898 字 · 20 页
家計不如意の愚痴か、亭主の不平と定ってらあ」
冷笑しながらぱらぱらと二三枚はぐり、最後のページに眼を落すとはっとした。
「九月十日 土曜日
近頃奥田子爵の家ではもぐりで旅館を開業したそうだ。今日の逢引きには持ってこいの家だから彼女もさぞ満足するだろうと思い、出がけにちょっとあたってみたら、割に低廉だ。部屋も気に入ったし、妻には宴会と偽わって出たので、帰りの時間の心配もない、万事好都合だ。会社の帰途、彼女と同行する。
彼女は妻の凝視を恐れているので、僕は極力妻を罵倒して彼女を慰めてやる。二人は永遠に別れないという誓いをして、彼女を駅まで送って家へ帰る、十二時十五分前である」
本庄は頭を掻きむしった。女房の奴、何もかもまた知ってやがる。妻の日記ではない、これは妻が書いた本庄自身の日記ではないか。馬鹿にしてやがる。
しかし、昨夜のことをもう知っているとは全く驚く。そして素知らぬ顔をしているのだから、悪どい奴だ。
「魔物、魔性の女!」
彼は日記を叩きつけた。
が、気になるのでまた拾い上げて、最初の方に眼を通した。
「八月六日 土曜日
年上の女の恐ろしい情熱にはさすがの僕も辟易する。