轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
——二川家殺人事件
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,792 字 · 82 页
すべてが白日下に曝け出されることは、むしろ恐ろしいのだ。
けれども、僕はいつまでも都合のいゝ世界で、安逸を貪っていることは許されなかった。僕はいつまでも卑怯である訳には行かなかったのだ。
僕は物心のつく時分から、疑惑の世界に追込まれていた。僕は不幸だった。僕は悲しかった。然し、一面には僕は恵まれていた。考えさえしなければ、妥協さえしていれば、幸福だったのだ。実際にも、そうした状態で長い年月を送って来たのだった。
然し、僕の身体に巣食っていた疑惑の病菌は、僕の意志の如何に係らず、悠りと、然し確実に僕の全身に拡がりつゝあったのだ。そうして、それが一年ほど以前に、俄然爆発したのだった。恐ろしい病気が現われた時に病気が発生したのではなくて、発生そのものは遠い以前にあって、適々何かの誘因で、それが突然現われるものであることは、多くの人の知っていることだが、僕のは全くそれなのだ。而も、それは恐ろしい業病なのだ。
僕の業病が何であるか、又何の為に君にこんな事を書き残そうとしたかを語る以前に、次の印刷物を読んで呉れ給え。之は或る社交倶楽部でなされた趣味講演の速記を印刷したもので、一般に販売されたものではない。