轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くろべきょうこく

黒部峡谷

木暮 理太郎

「東京朝日」1919(大正8)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,752 字 · 26 页

青空文庫

これが古書に謂う所の黒部四十八箇瀬で、今も入川・平曾川其他に昔の名残を存している。想うに泊から三日市に亙って、立山後立山両山脈の間に抱かれたこの扇状の平原は、黒部川が全峡谷の山々から撈取した無量の土砂を遺棄した為に生じたものであろう。

下廊下の岩壁は水際から十米乃至数十米の高さであるのが普通であるが、中には其以上の高い峭壁も甚だ多い。右岸では平ノ小屋の少し下から既にそれが始まって、次第に高さを増し、赤沢岳の支脈が鼻づらをぐいと川に突き出しているあたりでは、百米にも余る赭色の岩壁が殆ど垂直に屹立しているのが望まれる。黒部別山附近は五万分一の地図を見る人に最も興味を起させる地点であって、又遠望した所に拠っても、樹木尠く岩石が赤裸々に露出しているから、幾百米の断崖が水に臨んで峭立しているであろうと想わしめる。実際此附近は黒部峡谷の核心とも称す可く、従って険悪を極めた場所で、大ヘツリなどいう名があるのを見ても、岩壁の壮大を想像するに難くない。ヘツリは這いずりの意である。就中大タテガビンの名ある岩壁(音沢村の猟師佐々木助七の称呼)は黒部別山の東南端に在って、殆ど五、六百米の高さを有している。