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いさましいはなし
いさましい話
山本 周五郎
「講談雑誌増刊号」博文館、1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,835 字 · 73 页
そして警告するような笑いかたをした。
玄一郎は庫田家にいて見聞したことと思いあわせ、夫人の警告が誇張ではないということを了解した。そうして事実その後もしばしば夫人や令嬢たちから招かれたが、できる限り避けたり辞退したりしないように努めた。
勘定奉行交代の披露と、それに続く幾たびかの招宴で、藩中の彼に対する感情もあらましわかった。ごく簡単にいうと、それは、「無関心」と「反感」とにわけることができる。重臣や老職たち、またそのほか中年以上の人々は前者に属していて儀礼や事務に関する事はべつだが、そのほかの点では疎みもしないが親しみもしない。
――どうせすぐ江戸へ帰る人間だ。
こう思っているようにさえみえる。これに反して青年たちはおしなべて後者の態度を明らかにした。特に勘定奉行に属している者、つまり玄一郎の下僚の青年たちにそれが甚だしい。かれらは初めから不服従と反感を示し、わざと彼を怒らせ、困惑させるようにふるまうのであった。
――怒るなら怒ってみろ。
かれらはいつもそういう姿勢をみせた。
――さっさと逃げるほうが安全だぜ。
絶えずこういう嘲笑の眼でこちらを見た。