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いわゆる「はんせい」はわれわれをすくうか

いわゆる「反省」は我々を救うか

岸田 国士

「知識人 第二巻第一号」1949(昭和24)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,229 字 · 15 页

青空文庫

六

という懸念が先にたつのであるから、自分を人に従わせる結果にはなるが、これがそもそも神経衰弱の一つの徴候で、それは何よりも自分が大事だからであつて、自分にさえ損のいくところがなければ、それで気がすむというわけである。周囲が自分をゆるせば、誰の迷惑になつても、それはかまわず、また、周囲の誰かれが一様にやつてのけることなら、自分もまけずにそれをやらなければなにか損をするように思いこむことである。たしかに、これでは、「自分」がどこにいるかわからぬようではあるが、実は、「確乎とした自分」がいないだけの話で、「あやふやな自分」がつねに必要以上にのさばり返つているすがたなのである。

自分で自分をどうすることもできず、またどうしようとも思わぬような「自分」が、いくら自分を省みてみてもはじまらぬのは、まつたくきまりきつた話で、ただ、自分で自分のすることを「知つている」と信じることが、せめてもの慰めであるというような過ちの特質を、なんと名づけたらよいか。

六

この文章を綴りながら、私はますます窮地に陥つて来た。なぜなら、われわれの困つた「反省癖」を反省してみようとしながら、もう既に、その「困つた反省癖」