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いわゆる「はんせい」はわれわれをすくうか

いわゆる「反省」は我々を救うか

岸田 国士

「知識人 第二巻第一号」1949(昭和24)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,229 字 · 15 页

青空文庫

二

二

さて、私がこんな例をわざわざ持ち出したのは、今更かつての日本の軍隊教育にけちをつけたいためではない。軍人勅諭が、軍人は政治に関与すべからずと厳に戒め、それを毎日諳誦して暮して来た所の軍人が、そのことを暗んじているというだけで、常に反省の実があがつたつもりになり、これだけは特別という自分免許を作つて、そこには、決して「反省」の鏡をあてなかつた過去数十年の歴史が、今日の不幸を導いたと同様、われわれの一般社会の風潮のなかにも、「反省」がただ「反省」として通用し、それがあだかも独立の行為として価値があるように考えられているところがありはせぬか、と、私は、近頃しみじみ感じるのである。

そこへもつて来て、この「反省」は、また、敗戦後の日本の、一つの目立つた傾向であつて、心あるひとびとは、おそらくは、この「反省」組の一人でないと断言はできないほどである。しかし、また一方、その「反省」の考のあまりにもかまびすしいのに、やゝ業を煮やすという、もつともな現象もなくはない。「反省の過剰」という批判がどこからか生れて来たのはそのためであろう。

私のこの一文は、非常にあやうく、微妙なところに立つている。