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おかよ
おかよ
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1942(昭和17)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,116 字 · 19 页
(城中へ矢文を送って賊徒の士気を挫き、また、和蘭船をして背面より砲撃せしめ、糧道を断ち人質を以て脅迫する等々)しかし、賊徒の闘志は少しも緩まず、かえってしばしば反撃して来た。地下に道を掘って鍋島軍の陣へ火を放ったりした。その奇襲ぶりは巧妙をきわめ、寄手はそのたびに相当な損害をだした。ことに二月二十一日夜の逆襲はすさまじいもので、味方の陣はところどころに火を発し、戦死者も夥しい数にのぼった。……かくて二月二十四日、総督伊豆守信綱は総攻撃の令を発し、全軍は原城へと無二無三に取詰めた。細川越中守は敵城に最も近く、北岡浜から西南二百歩のところに陣を布き二城、三城へと攻撃の火蓋を切ったが、敵は堅固な要害に拠って頑強に防ぎ、殊に二城の大手にある角櫓は、攻撃路を眼下にして銃撃の絶好位置に当り、その飽くことなき斉射をあびて、細川軍は手も足も出なかった。
――あの角櫓を沈黙させなければならぬ。軍議はその一点に集り、二十五日の夜、敢死隊が募られた、ひと組十五人ずつ三組である、そして印東弥次郎はその三隊に参加を申し出た。かくて二十七日暁天を期して決行ときまり、三隊四十五人は夜半すぎに陣地を出で、いま丘の蔭に伏して合図を待っているのだった。