轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おかよ
おかよ
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1942(昭和17)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,116 字 · 19 页
大将であろうと小者であろうと、身命を抛つ時と場所を見はぐらなければよいのだ、身分の高下が武士の面目を決定するのではない、死所を誤りさえしなければ恥ずることはないのだ。弥次郎が敢死隊へ参加を申し出たとき、――足軽などが、と一言の下に拒まれた。しかし彼は飽かず願ってついに許されたのである。隊士たちは白眼で彼を見た。「なに一時のから元気さ」「いざとなれば逃げだすだろう」誰の眼もそういう意味を語っていた。けれども弥次郎は決してそれに反撥はしなかった、「なんとでも考えろ、おれは自分にできることをするだけだ」そう思っていたのである、それはかなり辛抱を要することだったけれど……。
さっと枯草がそよぎ立った、風が強くなってきたのだ、その風といっしょに誰かこちらへ走ってくる者があった、「山」「川」合い言葉を呼び交わしながら。植村七兵衛たちはすわと起ち上った。暁闇のなかを走って来た相手は、息をはずませながら云った。
「一隊二隊は出ました、三隊後詰めをねがいます」
「心得た、ご苦労」
七兵衛は、いざと手を振った。十五人の者は槍を伏せ、袖の合印を直し、黙々と縦列になって丘をくだった、右からのびている崖のかげをゆくこと十町、やがて暗い暁空のかなたに二城大手の城壁が見えだした。