轻松读懂日语经典作品
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おみつかんざし
お美津簪
山本 周五郎
「キング増刊号」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,158 字 · 26 页
……お美津はまだ、貴様がきっと自分のところへ戻って来ると信じているのだぞ、それなのに――貴様は、貴様は……」
正吉は畳に伏したまま体を弓のように曲げた、ごぼごぼと無気味な音がして、正吉の口からぱっと血潮が迸った。――茂兵衛はさすがにぎょっとした。そして手燭の光で改めて正吉の姿を見直した。余りにも変り果てた相貌、余りにも変り果てた姿だった。
「――正吉!」
「旦那さま、……」
「貴様そんな重い病気なのか」
「罰でございます、天道さまの罰が当ったのでございます。旦那さま、正吉は、こんな姿になりました」
「そんな体でどうしてまた」
「――長崎へ、帰りたかったのです」
正吉は袖で口を拭いながら云った。
「お袋にひと眼会って、死のうと、――二両の旅費が欲しさに、初めて忍び込んだのがこの家……正吉は今夜こそ、初めて、天罰の恐ろしさを、知りました。――お赦し下さいとは、とても申上げられません、どうか旦那さま、正吉をこのまま見逃して下さいまし」
「――――」
「何も仰有らずに、お見逃し下さいまし」
茂兵衛は黙って正吉の横顔を見ていた、――そして暫くすると、用箪笥の方へ立って行って、金包を拵えて戻ってきた。